仮画像

> 熟成日本酒、清酒について

熟成日本酒

熟成日本酒、清酒について

発酵文明のひとしずく。

北イタリアのポー川流域は、パルマやクラテッロといった生ハムをはじめ、パルメザンチーズなど世界第一級の発酵食品の産地として知られています。豊かな大地が生み出す産品を、土地の人々が風土と共に長い時間をかけて磨いてきた、きわめて高度な熟成技術。そんな技をもつ土地を日本であげるとすれば、人はまず秋田の名を口にするでしょう。
金紋秋田酒造は、秋田県の南東部の大仙市、県の米どころの中央に位置します。全国的に有名なのは、雄物川河畔で毎年8月に開かれる「大曲花火競技会」でしょう。人口9万人の町に、60万人もの花火ファンが集まる大イベントです。

秋田の食の名物といえば、まず日本酒に指を折ります。そしてさらに、県の魚でもある鰰(はたはた)を漬け込んだ「鰰の飯寿司」や、鰰からつくる魚醤の「しょっつる」、大根などを囲炉裏の上につるして燻製にしてから米糠と塩で漬けこんだ「いぶり漬け」など、米どころならではの米麹を活かした発酵食品があげられます。
これらの製造は、湿った日本海から大量の雪がはこばれる、長い冬の恵み。大地を静かに眠らせ、荒ぶる海を友とする秋田の冬は、米麹に最適な湿度や温度を安定して提供する、それ自体が天然の室とでも呼べるものなのです。
秋田の先人たちは、科学理論も冷蔵庫もない数百年の昔から発酵の不思議に取りつかれ、おいしさへの工夫を営々と積み重ねてきました。今日名物と呼ばれる食の逸品は、その背景や裾野に、おびただしい人々が関わる産業や社会の複雑な仕組みをもっています。秋田の発酵文化とは、東北のぶ厚い文明のひとしずくだと言えるでしょう。

今日、最高の日本酒は純米醸造であるという固定観念があります。しかし純米酒を長期間熟成させる場合、火落ち菌の悪影響をどうしても消せません。頭を抱えていた私たちを勇気づけてくれたのは、意外にもワイナリーの方々でした。なぜ古い発想だけにこだわるのか。例えばシャンパーニュでは、最後の工程で糖分を加えて味わいを調整しているではないか、と。

私たち金紋秋田酒造もまた、 日本酒の本質である「旨味」を鍛えあげながら、この土地でしか成り立たない酒造りに精進を重ねてきました。 熟成古酒の旨味は、ヨーロッパの、そして日本の発酵食品との出会いを驚くほど豊かなものにしてくれます。さらにその旨味は、さまざまな食品の味覚をいっそう深く豊かに広げ、これまでになかった味わいの宇宙を垣間見せてくれるでしょう。私たちの熟成古酒がヨーロッパで認められたのにも、こうした評価がありました。それはまた世界商品としてのこれからの日本酒の、新しい価値を物語る魅力にほかなりません。

ページ最上部へ